Market Update ウィークリー・マクロ・スナップショット (Jan 4 2018)

お宝名銘柄は完全に取引可能なH株から

新たな政策

中国証券監督管理委員会(CSRC)は、さらなる海外上場システムを改善するために、2017年12月29日に完全に取引可能となるH株のトライアム・スキームを発表した。当局は、このスキームを受けることができる最大3社のみと発展的なアプローチをとることを強調した。適格な企業としての4つの基本的な条件は以下となる。1)企業は、海外投資へのアクセス、国有資産のマネージメント、国家安全保障及び産業政策、その他関連する法令に対する要件を満たす必要がある。2)革新的、開発をコーディネート、環境にやさしい、開放的で共有制を有し、実態経済の発展や「一帯一路」を率先して務める国家発展の方向性に則する優良企業である。3)時価総額10億香港ドル以上の比較的シンプルな株式所有構造を有する。4)良好なコーポレート・ガバナンス、法令による内部意思決定過程、株主の権利を全面的に保護する企業である。

香港時価総額の30%を占める制限されたH株

2017年11月現在、香港メインボードに上場する企業1,779社のうちH株は223社となる。そのうち、98社がA/H二元上場企業となり、128社がH株のみとなる。非二元上場H株のうち、制限されたH株は発行済み株式総数のおよそ67%を占める。11月末までに、二元上場H株の時価総額はおよそ7兆2千億香港ドル、非二元上場H株の時価総額は2兆5千億香港ドルと、それぞれ香港株式市場の22%、8%を占めた。これらのことから、新たな政策が完全に施行された場合、香港市場に大きな影響を与えるだろう。

非二元上場H株より転換要因がある二元上場H株

現在、ほとんどのA株がH株より高い評価額で取引されていることから、98の二元上場銘柄が取引可能なH株に転換する可能性は、それらがA株市場に転換できるのと同じくらい低い。128の非二元上場H株の主要株主が50%の株式保有を維持する必要がある場合、香港株式市場の2%を占める6,270億香港ドルの株式がオフロードされるだろう。

利害一致が再評価につながる

短期的に、トライアル・スキームを受けることができるのは3社のみという事実から、香港市場にオフロードされる取引が可能な新規株の数は少ないだろう。そのため、株式供給の増加によるマイナス的な影響は限定的である。一方、これらの企業が転換スキーム(株数、価格、タイミングなど)に関して既存株主と同意に至れば、主要株主が保有する株式の真の市場価値の創出は、企業と主要株主との利害が一致し、関連銘柄の再評価につながる可能性がある。

潜在的勝者

現在、時価総額10億香港ドル以上のH株は115銘柄ある。多くの候補からどの3社が選ばれるか予測することは困難であるが、ZAオンライン(6060HK)の革新的なビジネスモデル、レジェンド・ホールディングス(3396HK)の革新的な消費/サービス及び国有企業改革、ASMC(3355HK)のセミコンダクター・ビジネス、チャイナ・ロンユアン・パワー(916HK)/華能新能源(958Hk)/チャイナ・ダータ(1798HK)のグリーン・エネルギー・フォーカス、CMEC(1829HK)の一帯一路へのビジネス・エクスポージャー、中国华融(2799HK)/中国信達資産管理(1359HK)の資産運用事業の低迷と企業債務の再編はこのトライアル・スキームに選ばれる大きな理由となると当社はみている。

その他勝者

取引可能な株式の段階的な増加に伴い、主要株主と企業との利害一致によりコーポレート・ガバナンスとマネージメントの改善が見られ、香港株式市場は投資家をより引き付けるだろう。これにより、HKEX(388HK)や証券会社などの金融仲介業の株高や出来高増につながる。

リスク

政策の実行における不確実性と困難。

(出所:Jan 3, 2018 GF Securities (Hong Kong) Brokerage Limited)

Leave a comment